• 証拠書類のない簿外経費への対応は?

    2023年2月6日

    1.税務調査の現場において、証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者や、証拠書類を仮装して簿外経費を主張する納税者への対応として、必要経費・損金不算入措置が講じられます。

    2.適用時期は2023年1月1日以後に開始する事業年度からで、税務当局の調査負担が軽減され、悪質な納税者の簿外経費は否認されます。

    3.かつては税務調査等の現場で、適正な記帳や帳簿保存をしていない納税者の真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大でした。しかし今後は、納税者が隠蔽仮装行為に基づき確定申告書を提出または確定申告書を提出していなかった場合には、これらの確定申告書に係る年分・事業年度の売上原価の額及び費用の額は、一定の場合を除き、必要経費の額・損金の額に算入されないことになり、税務執行コストが大きく合理化されることになります。

    4.ここで「一定の場合」とは、保存する帳簿書類等により売上原価の額や費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合、売上原価の額または費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合、その他その取引が行われたことが明らかである場合または推測される場合で調査等により税務署長がその取引が行われこれらの額が生じたと認める場合、売上原価の額又は費用の額の基因となる取引等が帳簿書類の保存場所等からも明らかである場合、などが該当します。

    5.帳簿書類の保存場所は、居住者の住所地若しくは居所地またはその営む事業に係る事務所若しくは事業所、雑所得を生ずべき業務を行う場所その他これらに準ずるものの所在地です。

    6.売上原価の額は、総収入金額を得るために直接要した金額で、購入した資産、自己の製造等に係る資産、購入・製造等以外の方法によって取得した資産、贈与・相続等によって取得した資産を例示し、各資産のいずれに該当するかに応じて定められた金額が必要経費に算入されます。