• 退職所得の源泉徴収票:提出範囲や提出枚数など

    2023年1月18日

     「退職所得の源泉徴収票」は、転職先での年末調整や確定申告に必要となるため、原則として退職後1ヵ月以内に受給者に交付されます。交付者は、退職手当・一時恩給その他これらの性質を有する給与の支払者です。この退職所得の源泉徴収票は、受給者交付用と税務署提出用に加え、市区町村に提出するための特別徴収票を兼ねていることから、帳票の名称は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」ですが、このコラムでは略して「退職所得の源泉徴収票」と呼びます。

     退職所得の源泉徴収票は、受給者には必ず交付されますが、税務署と市区町村へ提出するのは、受給者が法人の役員、相談役、顧問その他これらに類する者である場合などに限定されています。また死亡により退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定による調書(退職手当金等受給者別支払調書)を提出するので、この場合も退職所得の源泉徴収票を提出する必要はありません。

     税務署および市町村への提出期限は原則として退職後1ヵ月以内で、提出先は支払者の所轄税務署および支払った年の1月1日現在の受給者の住所地の市区町村です。ただしその年中に退職した受給者分を取りまとめて翌年1月31日までに提出しても大丈夫です。

     2016年(平成28年)1月1日以後、退職所得の源泉徴収票には退職手当等の支払を受ける者等のマイナンバーや法人番号が記載されることになりましたが、受給者に交付する退職所得の源泉徴収票には、現在もマイナンバー及び法人番号が記載されていません。また、あらかじめ受給者の承諾を得る等の場合、書面交付に代えて電磁的方法で提供できますが、受給者からの請求があるときは、書面により交付しなければなりません。

     退職所得の源泉徴収票の提出枚数は1枚です。ただし租税条約等により日本と自動的情報交換を行うことができる各国等に住所がある者については、同じもの2枚を所轄税務署に提出することとなっていますので、該当する方はご確認ください。