• 租税の滞納額状況 前年に続いて増加

    2022年12月29日

    1.国税庁は、2021年度(2022年3月までの1年間)における租税滞納状況を公表しました。それによると、2022年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が、前年度に引き続いて増加しています。

    2.国税全体で見てみると、新規に発生した滞納額は7,527億円(前年度比27.2%増)と2年連続で増加しています。その一方で整理済額は6,956億円(前年度比34.2%増)と新規発生滞納額を下回ったため、2022年3月末時点での滞納残高は8,857億円(6.9%増)と2年連続で増加しました。
     ただし、新規滞納額(2021年度)そのものは、過去最多(1992年度)の1兆8,903億円から約40%ほど減少しており、2021年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は、前年度比0.2ポイント増の1.1%と低水準で推移しています。

    3.次に税目別にみると、まず消費税の新規発生滞納額が3,997億円(前年度比11.5%増、2年連続で増加)となり、全体に占める割合も約53%で税目別の最多(17年連続)となり、整理済額(3,692億円)が新規発生滞納額を下回ったため、滞納残高でも3,551億円(9.4%増、2年連続で増加)となりました。
     さらに、所得税(前年度比54.6%増)や法人税(同23.5%増)でも滞納額が増加しており、滞納残高の全体額を押し上げています。

    4.滞納に関して、国税庁はその性質に応じて効果的・効率的に処理するよう努めています。例えば、全国の国税局(税務署)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、処理が進展しない滞納案件は差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった裁判手続き、財産を隠蔽して滞納処分を免れる悪質な案件には国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発、といった方法です。
     しかし国税庁によるこのような厳しい滞納整理にもかかわらず、滞納残高は2年連続で増加してしまいました。この要因は、新型コロナの影響という特殊事情、つまり新型コロナウイルス感染症の経済対策で特例猶予制度が適用されて滞納の新規発生が抑えられていた分が、経済対策が終了したことにより表面化したことも一因です。

    5.今後も滞納状況の推移には目が離せません。