• 国税庁:相続税の物納申請状況

    2022年10月11日

    国税庁が、2021年度の相続税物納申請状況等を公表しました。それによると、2021年度(2022年3月までの1年間)の
    ✓ 物納申請件数:63件、前年度比3.1%(2件)減少
    ✓ 相続税額:75億円、前年度比10.7%(9億円)減少
    となり、件数と金額のいずれも減少しました。

     国税は金銭納付が原則ですが、相続税は、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められています。

     物納申請件数の推移は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加し、それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1,238件、1991年度に3,871件、そして1992年度には1万2千件台まで急増しました。

     しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、1999年度以降は年々減少し、2021年度も減少となりました。ここ10年間は1989年度(515件)以来1000件割れが続いています。

     一方で処理状況は、前年度からの処理未済を含め前年度から12件減の61件、金額では同8億円減の72億円。年度末での処理未済件数は同2件増の27件、金額でも同3億円増の22億円に微増しました。処理の内訳は、全体の約64%の39件が許可されて財務局へ引き渡し、物納財産不適格として10件が却下、残りの12件は納税者自らが物納申請を取り下げてました。

     なお、2021年度の相続税の延納申請は、前年度比29.0%増の1,095件、同57.6%増の490億円。処理状況は、前年度からの処理未済を含め同6.8%増の1,040件、同32.4%増の437億円を処理しました。年度末の処理未済件数は同18.6%増の351件、同34.0%増の213億円に増加し、処理の内訳は、全体の約75%の783件が許可され、延納不適格として20件が却下、残りの237件は納税者自らが延納申請を取り下げています。