• 相続税の実地調査結果

    2022年9月3日

     国税庁が、2020事務年度(2020年7月~2021年6月)における相続税の実地調査結果を公表しました。

     これによると、資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、申告義務がありながら無申告と思われる事案など5,106件(前事務年度比▲52.0%)を実地調査し、その87.6%(4,475件、▲50.7%)から、1,785億円(▲41.4%)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税66億円を含む482億円(同▲29.3%)を追徴課税しています。COVID-19の影響により、全体としてみると、実地調査件数、追徴税額とも大幅に減少しています。

     しかし、大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先調査したため、実地調査「1件当たり」の申告漏れ課税価格は3,496万円(前事務年度比+22.0%)、追徴税額は943万円(同+47.3%増)など、過去10年で最高となっています。なお重加算税を賦課した件数は719件(同▲53.3%)、重加算税賦課対象額は319億円(同▲44.1%)と実地調査件数、税額ともに減少しています。

     国税庁は実地調査に加え、文書や電話による連絡により申告漏れや計算誤りを是正する「簡易な接触」にも積極的に取り組んでいます。「簡易な接触」はCOVID-19の影響を受けません。そのため件数は1万3,634件(前事務年度比57.9%増)、申告漏れ等の非違件数は3,133件(同37.3%増)、申告漏れ課税価格は560億円(同31.1増)、追徴税額は65億円(同54.8%増)と大きく増加しています。

     一方、申告・納税義務があるのに申告しない無申告事案は、前事務年度より▲57.1%少ない462件の実地調査を行い、うち88.5%に当たる409件(前事務年度比▲55.6%)から455億円(同▲49.8%)の申告漏れ課税価格を把握し、61億円(同▲36.4%)を追徴課税しました。1件当たりの申告漏れ課税価格は9,848万円(同17.0%増)で、追徴税額は1,328万円(同48.2%増)となりました。 

     

     今後は、簡易の接触の段階で正確な申告と納税に努力するとともに、もし所轄税務署等から実地調査の連絡が来たら、しっかりと準備をして対応する必要がありそうです。