• 死亡後3年以内に支給が確定した退職金は相続税の課税対象

    2022年8月15日

    1.被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきだった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(以下「退職手当金等」といいます)を受けた場合、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。

    2.ここで「退職手当金等」とは、受ける名目にかかわらず、実質的に被相続人の退職手当金等として支給される金品をいいます。現物支給された場合も含まれますので注意が必要です。また「死亡後3年以内に支給が確定したもの」とは、死亡退職または生前退職を問わず、支給金額が被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものをいいます。

    3.しかし、相続人(相続を放棄した人や相続権を喪失した人は含まない)が受け取った退職手当金等が「非課税限度額」以下の場合には相続税は課されません。相続人が受けた退職手当金等の合計額が非課税限度額を超えるときの超える部分の額と相続人以外の者が受けた退職手当金等の額が相続税の課税対象になります。

    4.ここで「非課税限度額」とは、「500万円×法定相続人の数」で計算されます。また「法定相続人の数」とは、相続放棄した人がいてもその放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいい、もし法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子あるときは1人まで、実子ないときは2人までとなります。なお、相続人以外の人が取得した退職手当金等にこのような非課税規定の適用はありません。

    5.よって、相続人が受けた退職手当金等のうち課税される退職手当金等は、「その相続人が受けた退職手当金等の額-(非課税限度額)×その相続人が受けた退職手当金等の額/全ての相続人が受けた退職手当金等の合計額」となります。

    6.なお、死亡退職金は勤務先企業から源泉徴収されません。その理由は、生前退職金は従業員本人に直接に支払われるため所得税の課税対象となりますが、死亡退職金は遺族に支払われるため、相続税の課税対象となるからです。